青を抱く 一穂ミチ 先生の感想・レビューと、試し読み、電子書籍、ネタバレ、おすすめ関連作品などの紹介です。
BL小説 作品DATA
- 著者
- 一穂ミチ 先生
- イラスト・挿画
- 先生
- 翻訳
- 出版社
- 角川文庫 KADOKAWA
- 発行
- 2023/8/24
- おすすめ
- 推奨媒体
- 紙の本・電子版
- あらすじ
紹介PR - 静かな海辺の街で暮らす和佐泉は、日課の海岸散歩中に出会った男の風貌に思わず息を飲む。海難事故に遭い、2年間目を覚まさない弟の靖野にそっくりだったからだ。長期休暇でしばらく滞在していると言うその男、宗清の人懐っこさや率直な好意に反発しながらも惹かれていく泉。しかし、泉には宗清の想いを受け入れられないある理由があった……。心が浄化される感動系BL。書き下ろし「Dear my her」を含む短篇3本も収録。
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青を抱くおすすめポイント
- 一般文庫から出ているがれっきとしたBL小説。
- 物語の展開が読めなかったので、めちゃめちゃ楽しめた!(先入観なしがいい)
- だれにも言えない思いを吐露させる、宗清がすごいと思った。個人的に。
- 母と兄の献身的なのもすごい。いろいろな伏線回収も素晴らしい。
- 少ない口コミ評価は、作品の出来と関係ないので気にせず読んだほうがいい名作BL、じゃないと再文庫化はされない。
青を抱くの感想
読後、心が豊かになる名作BL。久々にドカンとくるBL小説を読みました。なんでか評価が低いのですが、読んだら名作じゃないですか!
やはり、他人の評価をあてにしていては、良作には出会えないです。
「2015年フルール文庫より刊行、再文庫化、大幅加筆修正」とあり、 加筆修正がどの部分か、最初の版を読んでいないのでわかりませんが、小気味いい日本語の操り方は本当に毎回感心します。それだけで気分がよくなります。 そして刺さる、刺さらないだけでは語り切れない人の愛情の多面的多層的な部分を教えてくれる1冊です。私は読後幸せいっぱいになりました。
ぜひ、お読みください。
「青を抱く」のネタバレ感想
【注意】若干ネタバレがあるので、読後お読みください。正直口コミ評価が低いので、なぜか見ていたら、BLじゃない要素を受け入れられない方の評価が低いようでした。別作品でもあったのですが、ヘテロやらGLの要素が入ってくると全否定する方が一定数おられます。そうでない方には絶対的におすすめします。 あと一般文庫から出ているので、BLと知らずに読んでいる方も交じっており、その中には最初から否定的な方もいます。そういった評価も交じって平均値を下げているようですが、私個人としては、一穂ミチ先生は日本語の操り方が天才的、という評価をより一層あげた神作家様です。
BL読んでいる時に自分と価値観が違うと受け入れられない場合もありますが、そこに寛容さというか、ファンタジーでありかな、って軽くとらえると、新たな扉がどんどん開いて、価値観も多層的になっていく気がしています。
子を交換することについて、確かに若干軽いノリに取れなくはないのですが、これは、二人は一緒にいたいけどおそらく外的要因から、別れるしかなかったわけです。だから、忘れ形見的な交換なんだと思います。一番大事なものと交換するぐらいあなたを愛しているという意思表明。自分の子以上に大切に育てるという決意、あなたを忘れないというお互いの決心だったんじゃないでしょうか。私はそういう解釈をしたので、これは全然あり、でした。が、実際に生んでいるお母さんたちからしたら、自分の子を手放すなんてそんなの絶対ありえない、とおっしゃると思います。ここには共感できないと。ですが、それは読者様は幸せな出産をされているからじゃないでしょうか。共感できなくてもそれは個人の感情なので自由ですが、世の中には子供を手放す母親、育てない母親はごまんといます。
お互い一緒にいられないから子どもを大事に育てるということがエモいファンタジーになっていて、そういった選択肢もなくはないんじゃないかと、感じました。とはいえこれは感性の問題ですから、自由ではありますが、私はそう解釈しました。あなたは、どう解釈しましたか?
泉はノンケですが、ゲイの宗清の口車に乗せられながらも、どんどん惹かれていくところもよかったです。 心残りは、弟・靖野の今後。 もし腐で読書会をやるんだったら、課題本にしたい本ですね。